源覚寺に伝わる閻魔像で、閻魔堂に安置されている。右眼が黄色く濁っているが、閻魔王が信心深い老婆に己の右眼を与え、老婆は感謝のしるしとして“こんにゃく”を供えつづけたという言い伝えがある。このことから、眼病治癒の『こんにゃく閻魔』として庶民の信仰を集めた。
像は、高さ100.4cm。ヒノキ材の寄木造りで、彩色を施し、玉眼が嵌入してある。優れたできばえを示し、運慶派の流れをくむ鎌倉時代の作と思われる。銘文によると、寛文12年(1672)に仏師竹内浄正が修理している。
この像は、彫刻美術品として優れているとともに、本区所在の仏像のなかで、古い製作年代に属するものとして貴重な文化財である。
閻魔王は、冥界にあって死者の生前の罪業を裁断する十王のうち、最も良く知られている。わが国の閻魔信仰は、平安時代後期にはじまり、鎌倉時代に盛んになった。